2006 Fiscal Year Annual Research Report
無顎脊椎動物を用いたMHC領域の比較ゲノム解析および免疫系の多様性に関する研究
Project/Area Number |
06J04438
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
笠松 純 北海道大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヌタウナギ / 2R仮説 / FISH / MHCパラロガス領域 / ゲノム重複 / VLR / APAR |
Research Abstract |
有顎脊椎動物の適応免疫系はTCR/BCR/MHCという主要分子群によって担われているが,無顎脊椎動物を境としてそれらの分子群は発見されておらず,無顎脊椎動物は脊椎動物の進化や適応免疫系の起源・進化・多様性を考える上で重要な生物群である.本研究では無顎脊椎動物のヌタウナギを研究材料として、以下の研究を行う.1.FISH法を用いて,MHCパラロガス領域を指標とした「2R仮説」の検証,および既存のMHC領域の形成過程を調べる.2.TCR/BCRの祖先型遺伝子と思われるAPARについて,機能・シンテニーの観点からTCR/BCRの進化的関係を考察する.加えて,今年度は3.無顎脊椎動物の新規抗原レセプターであるVLRに関する研究についても成果を得たので報告する. 1.ヌタウナギBACクローンを用いたFISH法を開発した.この手法をもとにMHCアンカー遺伝子をコードするBACクローンをマッピングしたところ,少なくとも2つ以上のMHCパラロガス領域の存在が示唆された.現在,よりゲノムワイドな観点で調べるため,ヒトMHCパラロガス領域に存在している遺伝子群のヌタウナギホモログをESTデータベースから網羅的に検索し,マッピングを行っている.2.現在,抗APAR抗体を作成中であり,作成終了後に予定された実験を遂行する.3.メクラウナギ類では2個のVLR遺伝子が同定されており,FISH法によってこれらの旨染色体上の位置を同定した.その結果,両遺伝子は同一染色体上に存在しているが,物理的に離れた位置にあることが明らかとなった.これまでの配列情報から得られた知見を踏まえると,両VLRは既に機能的分化を遂げている可能性がある.また,これらVLR分子群の立体構造解析を行い,VLR分子が馬蹄構造をとることや,抗原結合領域にアミノ酸置換が蓄積していることなども明らかにした.
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Research Products
(2 results)