2006 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子産物BRCA2の核移行機構とC末端RAD51結合領域の機能の解明
Project/Area Number |
06J04445
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉川 泰永 北海道大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | BRCA2 / 乳腺腫瘍 / 乳癌 / LOH / 多型マーカ / イヌ / RAD51 |
Research Abstract |
1.イヌの乳腺腫瘍においてBRCA2のヘテロ接合性の消失(LOH)を発見した(現在、以下の内容について論文作成中) 乳腺腫瘍は女性で発症頻度の高い疾患である。癌抑制遺伝子産物であるBRCA2の機能が消失すると乳腺腫瘍発症に繋がることが知られている。他の癌抑制遺伝子と同様にBRCA2においても正常なアリルが欠失する過程でLOHを示すことが知られている。LOHを検出するLOH解析は、乳腺腫瘍とBRCA2の変異を調査する上で非常に有用である。乳腺腫瘍の発症頻度には動物種差があり、雌イヌではヒトの約3倍と極めて高く、獣医学領域で問題となっている。犬種で発症率に差があることや若齢の症例が存在することからイヌでも遺伝的要因が関与していることは確かだと考えられる。このような特徴を持つイヌは乳腺腫瘍のモデル動物として有用であり、イヌBRCA2を解析することでより効率よくBRCA2の変異を検出できると私達は考えた。 イヌBRCA2をコードするゲノム領域でLOH解析に使用できる多型マーカは私達が以前に報告した1つのみであったので、新たに4つの多型マーカを作製した。これらの多型マーカを使用してLOH解析を行い、LOHを示す検体を1検体発見した。この検体の乳腺腫瘍では、4つのミスセンス変異、1つの挿入変異、1つのサイレント変異を持ったBRCA2が発現していた。今回発見した4つのミスセンス変異や挿入変異のいずれかが腫瘍発症と関係していると考えられた。 2.ヒトBRCA2のコンストラクティング (1)重複したドメインを形成するC末端RAD51結合ドメインと核移行シグナルに変異を導入した全長BRCA2を哺乳動))物細胞で発現させるためのプラスミドを作製した。 (2)核移行シグナルに変異を導入してもC末端RAD51結合ドメインとRAD51との結合に影響を与えないことをMammalian two-hybrid assayを用いて確認した。
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