2006 Fiscal Year Annual Research Report
免疫バランス制御を介した新たな癌ワクチン療法の開発とそのメカニズムの解析
Project/Area Number |
06J04446
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
脇田 大功 北海道大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | CpGオリゴヌクレオチド / Thl / 腫瘍免疫 / 細胞傷害性T細胞 / 制御性T細胞 |
Research Abstract |
免疫バランスを人為的に制御することによって、担癌生体における強い免疫抑制機構を打破し、腫瘍の完全排除を誘導し得る強力な癌免疫療法を開発することを目的とし、タイプ1免疫を惹起するアジュバントを用いた癌免疫療法の確立とそのメカニズムについて検討を行った。 まず、タイプ1免疫を強く誘導することが知られているCpGオリゴヌクレオチド(CpG-ODN)をアジュバントとして用い、癌抗原タンパクと併用する癌ワクチン療法の構築を試みた。この時、リポソームにCpGと癌抗原を封入して樹状細胞へターゲッティングすることにより、大きく増殖した腫瘍塊をも完全に拒絶し得る強力な抗腫瘍効果が認められた。リポソームCpG癌ワクチン療法では、癌所属リンパ節が細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導に重要な場であり、そこで、IFN-α/β依存的にCTLが誘導されることをモノクローナル抗体とノックアウトマウスを用いて明らかとした。 タイプ1免疫を惹起する場合、Th1細胞はその偏向に重要な役割を担うことが知られている。そこで、癌抗原特異的Th1細胞をセルアジュバントとして用い、癌抗原タンパクと併用することで著しく抗腫瘍効果が増強されることを明らかにした。この時、担癌生体内において全ての免疫担当細胞を活性化し、特にCD8陽性T細胞が腫瘍の排除に重要であった。また、Th1セルアジュバント療法では、担癌生体内における制御性T細胞の増加をIFN-γ依存的に強く抑制する機能があることを明らかにした。 以上より、CpGあるいはTh1細胞を用い、担癌生体内の免疫バランスをタイプ1へと人為的に制御することによって、癌特異的CTLの誘導を介した抗腫瘍効果が得られた。今後、化学発癌剤を用いた実験系においてCpG-ODNの原発腫瘍に対する抗腫瘍効果を検討する予定である。
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