2008 Fiscal Year Annual Research Report
免疫バランス制御を介した新たな癌ワクチン療法の開発とそのメカニズムの解析
Project/Area Number |
06J04446
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
脇田 大功 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 癌免疫監視機構 / 原発腫瘍 / メチルコラントレン / CpGオリゴヌクレオチド / IFN-γ |
Research Abstract |
前年度までに、toll様受容体(TLR)-9のリガンドであるCpGオリゴヌクレオチド(CpG-ODN)を投与することで、メチルコラントレン誘発上皮性腫瘍の発生を抑制できること証明した。そこで、本年度は、CpG-ODNによる原発腫瘍に対する抗腫瘍効果の詳細な機序を解析した。まず、CpG-ODNによる免疫賦活効果を評価した結果、CpG-ODN投与群では対照群と比較し、IFN-γ産生能、細胞傷害能が著しく増加していた。そこで、癌免疫監視機構におけるIFN-γの重要性を上皮性腫瘍発癌モデルにて検討した。野生型マウス(WT)、IFN-γノックアウト(KO)マウスにMCAを皮内接種し、発癌率を比較したところ、IFN-γKOマウスではWTに比べ、上皮性腫瘍の発生頻度が増加したことから、上皮性腫瘍に対する癌免疫監視機構に、IFN-γが強く関与していることが示された。さらに、CpG-ODNによる原発腫瘍の発生抑制効果へのIFN-γの関与を同様に検討したところ、IFN-γKOマウスではCpG-ODNによる抗腫瘍効果がほとんど認められない結果を得た。これらの結果は、CpG-ODN投与によるIFN-γ産生の誘導が癌免疫監視機構の増強効果に非常に重要であることを示している。原発腫瘍に対する抗腫瘍効果を示した癌免疫療法の報告は非常に少なく、本研究はCpG-ODNによる癌ワクチン療法が原発腫瘍に対してIFN-γ依存的に抗腫瘍効果を示すことを証明した点て非常に有意な結果であるといえる。さらに、CpG-ODNと癌抗原タンパク質による癌ワクチン療法の臨床応用が開始されており、臨床での効果が期待される。
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