2006 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞への革新的遺伝子デリバリー技術を基盤とした抗腫瘍DNAワクチンの開発
Project/Area Number |
06J04448
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森口 留美子 北海道大学, 大学院 生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遺伝子デリバリー / 樹状細胞 / 核内動態 |
Research Abstract |
本年度は、細胞膜・核膜を膜融合により突破するという新しい遺伝子デリバリー戦略に基づき、多重型MENDの構築及び機能評価を行った。また、遺伝子発現の律速過程の一つであると考えられる核内動態に、正の非線形性を見出した。 1.多重型MENDの構築 凝縮化したpDNAを核膜と融合能の高い脂質より構成される脂質膜で封入し、さらに細胞膜と融合能の高い脂質より構成される脂質膜で封入することにより、多重型MENDを調製した。ショ糖密度勾配遠心により精製後電子顕微鏡で観察した結果、複数の脂質膜で覆われた構造を持つことが確認された。 2.遺伝子発現能評価 ルシフェラーゼを発現するpDNAを多重型MENDに封入し、マウス骨髄由来樹状細胞株JWAS II細胞にトランスフェクションした結果、従来のMENDに比較して数百倍遺伝子発現活性が上昇した。 3.細胞内動態の定量的評価 pDNAの細胞内取り込み量・核移行量をreal-time PCRで定量した結果、多重型MENDは従来型MENDに比較して取り込み及び核移行において効率が良いもののそれらの寄与は少なく、pDNAの転写効率(核内動態)において著しく高い能力を示すことが明らかになった。(Akita, Moriguchi et al.投稿中) 4.核内動態の非線形性の解析 MENDを含む多くの非ウイルス性遺伝子デリバリーシステムの投与量と発現量の関係は正の非線形性を示すことが知られている。そこでMENDの低用量と高用量におけるpDNAの細胞内取り込み量・核移行量を定量することにより、この非線形性の要因が核内動態にあることを明らかにした。また、カチオン性リポソームとpDNAの複合体(lipoplex)による遺伝子デリバリーにおいて、lipoplex調製時の濃度が核内動態に影響を及ぼすことを明らかにした。(Moriguchi et al.投稿中)
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