2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病原因因子APPと代謝制御因子X11Lの結合・解離制御機構の解析
Project/Area Number |
06J04450
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐久間 めぐみ 北海道大学, 大学院生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルツハイマー病 / APP / X11L / ストレス / リン酸化 |
Research Abstract |
アルツハイマー病患者脳に特徴的な老人斑は、APPが2段階の切断をうけ産生されるAβが主成分である。X11LはAPPに結合し、その代謝を安定化することでAβ産生を抑制すると考えられており、APP代謝を制御するタンパク質として重要である。これまでの研究により、高浸透圧ストレスによりAPPに結合するX11L量が劇的に増加すること、X11L,のN末部位のセリンを多く含む領域を欠失、変異させることでストレスによる結合の変化が見られなくなることを示している。そこでこの領域中の236番目のセリン(Ser 236)および238番目のセリン(Ser 238)にリン酸を付加したペプチドを用い、それぞれの抗リン酸化X11L特異的抗体を作製した。その結果、Ser236およびSer238はHEK293細胞内で定常状態においてもリン酸化修飾を受けていること、Ser236は0.5Mソルビトールによる高浸透圧処理後2時間をピークにリン酸化比活性が上昇することがわかった。しかしながら、APPに結合しているX11Lに対するそれらのリン酸化X11Lの割合に変化はなかった。また、リン酸化修飾によるチャージ変化を模すと考えられるアスパラギン酸にセリンを置換したコンストラクトS236D/S238Dにおいてもアラニンに置換したS236A/S238Aと同様のストレス応答を示した。このことから、Ser236およびSer238のリン酸化が直接APPとの結合変化を引き起こしているのではなく、高浸透圧ストレスによる他の部位のリン酸化などが引き金となり、その後Ser236およびSer238を中心とした立体構造変化を引き起こすという複数の制御部位の存在が示唆された。
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