2007 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性病態時におけるニューロン・グリア機能連関と再灌流脳障害
Project/Area Number |
06J04481
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小杉 達郎 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GLT-1 / Na^+ / Ca^<2+>交換系(NCX) / ニューロン・グリア共培養系 / カルシウムパラドックス / 再灌流脳障害 / 神経細胞死 / グルタミン酸 / グリア細胞 |
Research Abstract |
脳梗塞のような虚血性の病態では、虚血後血液の供給が再開することにより、かえって組織の損傷の度合いが増す場合がある。これを再灌流障害という。現在までに、脳での再灌流障害について神経細胞死の進行機序については報告があるが、細胞死が引き起こされる原因に関しては依然不明な点が多い。現在その原因の一つと考えられているのが、Na+/Ca^<2+>交換系(NCX)の逆モードを介したCa2+の流入である。この虚血再灌流障害をモデル化したものとして、in vitroにおいて細胞を低Ca^<2+>溶液に短時間曝露後、Ca^<2+>を含む溶液でインキュベートするという方法が用いられている。ただし、この培養細胞でのCa^<2+>パラドックス負荷による細胞死はニューロンよりもグリア細胞であるアストロサイトに顕著であると考えられている。 本研究では、ニューロンとアストロサイトの両方が存在する共培養系を用い、ニューロン・グリア機能連関の立場から虚血・再灌流脳障害のメカニズムを明らかにすることを目的としている。具体的には、ニューロン・グリア共培養系に対してCa^<2+>パラドックス負荷を行い、それぞれの細胞の機能解析から再灌流障害による神経細胞死の原因を解明することを目的とした。 そこで本研究では、まずCa^<2+>パラドックス負荷により、ニューロンのみの培養系の場合では神経細胞死が引き起こされにくい事を確認し、しかしそれがアストロサイトとニューロンの共培養系内のニューロンに対してはアストロサイトの障害とは別に認められるという事を明らかにした。その神経細胞死は、再灌流中にグルタミン酸トランスポータであるGLT-1をDHKという阻害薬を用いて特異的に阻害することにより有意に抑制された。 また培養アストロサイトにおいて、SBFIという蛍光インジケータによりCa^<2+>パラドックス負荷中のアストロサイト細胞内Na^+濃度の上昇を測定したところ有意な上昇が認められ、その細胞内にNa^+が過剰に存在した状態は再灌流中も持続する事が確認された。
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Research Products
(1 results)