2007 Fiscal Year Annual Research Report
III-V族化合物半導体の表面制御と量子ナノ構造への応用
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06J04485
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
塩崎 奈々子 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 窒化ガリウム / 陽極酸化 / グリコール / X線光電子分光法 / フォトルミネッセンス / 酸化ガリウム / パッシベーション |
Research Abstract |
GaNは高出力・高周波デバイスとして応用が期待されるが、デバイスプロセス中に誘起される欠陥によるデバイス特性劣化が問題である。本研究では、GaN表面ウェット酸化技術の絶縁膜形成やエッチングへの適用を試みた。 プロピレングリコールと3wt%酒石酸水溶液を2:1の割合で混合した溶液中で、GaN基板に紫外光を照射しながら、電圧を-1Vから25mV/sで掃引し1Vで定電圧に切り替えて印加した。GaN上に形成された酸化膜厚は、酸化時間4minから8nm/minのレートで線形的な増加傾向を示した。また酸化膜は40℃のアンモニア水に浸して除去できることが確認できた。断面観察により、酸化膜とGaNの界面に遷移層が見られ、エッチング後XPSN1sピーク中に僅かなN-O結合が見られることからこの層がGaO_xN_yから構成されている可能性が示唆された。 酸化したGaNを光学測定し、同一基板上の未処理GaNと比較した。酸化後のGaNは未酸化試料の3-14倍の発光強度増加を示した。この理由には、GaN表面近傍の欠陥の多い層が酸化膜として消費されたこと、界面遷移層がGaNの表面準位を低減させたこと、またGaN/酸化膜界面のラフネスが光取り出し効率を上げたこと、などが考えられる。 AlGaN/GaN HEMT細線で、大気に曝されたチャネルの端面のみ酸化し、ドレイン-ソース電流(I_<ds>)を測定した。酸化処理後にI_<ds>は増加し、チャネル幅が0.8〜0.5μmと狭まるにつれ電流増加率も増した。チャネル幅が狭いと表面に占める端面面積の割合は増え、端面に存在する電子捕獲準位の影響も増すため、不活性化処理により電流値の回復が顕著に表れたものと思われる。 以上、本酸化プロセスが酸化膜形成・エッチング及び電気的・光学的パッシベーションに有用であることを示しており、広い分野での応用が期待できる非常に有望な結果である。
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Research Products
(9 results)