2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J04501
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 龍介 北海道大学, 大学院農学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バキュロウイルス / 哺乳動物細胞 / 核多角体病ウイルス / 転写 / 昆虫ウイルス |
Research Abstract |
本研究ではバキュロウイルスの哺乳動物細胞における機能発現を調査するため、本ウイルスの哺乳動物細胞内における転写に焦点を当て解析を進めた。本ウイルスの哺乳動物細胞内における転写を網羅的、および個別に解析したところ、全130遺伝子のうち1/4 1/3にあたる数十個の遺伝子の転写産物が確認され、転写産物のスプライシング機構も昆虫・哺乳動物細胞間で共通していることが明らかとなった。しかし、いずれの遺伝子の転写に関してもその量は極めて少ないということも同時に明らかとなった。 これらの転写産物の構造について詳細を調べたところ、これらの転写産物はmRNAの形で細胞の持つRNAポリメラーゼIIにより転写されていることが示唆された。実際、本ウイルスの初期遺伝子群は宿主昆虫細胞内でRNAポリメラーゼIIにより転写されており、そのプロモーターにはRNAポリメラーゼIIの認識配列が存在している。しかし、この認識配列の全てが昆虫・哺乳動物両細胞で同様に機能しているわけではなく、またこのような認識配列の存在しない領域からもウイルス遺伝子の転写が認められた。この点を追求するためにはRNAポリメラーゼIIのプロモーター認識機構の詳細な解明が必要である。 上記の通り、本ウイルスの哺乳動物細胞内における転写量は極めて小さく、何らかの機構により抑制されていると考えられるが、現在この抑制機構の存在を示唆するデータを得られたため、その詳細について解析を開始している。
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Research Products
(1 results)