2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J04501
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 龍介 Hokkaido University, 大学院・農学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バキュロウイルス / 哺乳動物細胞 / 核多角体病ウイルス / 転写 / 昆虫ウイルス / エピジェネティック制御 |
Research Abstract |
本研究では昆虫病原ウイルスであるバキュロウイルスの哺乳動物細胞内における転写能について解析を行ってきた。これまでの研究により、本ウイルスの全150遺伝子のうち1/4程度の遺伝子に関して僅かながら哺乳動物細胞内においての転写が認められることが明らかとなった。今年度の研究では哺乳動物細胞における本ウイルスの転写を制限する要因に焦点を絞り解析を進めた。その結果、本ウイルスの転写は哺乳動物細胞内でヒストン脱アセチル化を含むエピジェネティックな遺伝子発現制御により著しく制限されていることが明らかとなった。すなわち、本ウイルスは細胞核への侵入後、宿主の持つヒストンタンパク質と結合しヌクレオソーム様構造を形成すること、およびその際ヒストシH3は脱アセチル化状態にあることが明らかとなり、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤である酪酸ナトリウム存在下ではウイルスゲノム上のヒストンはアセチル化状態となり、それに伴ってウイルス遺伝子の転写が著しく上昇することが示された。一方で、通常の細胞核内におけるヒストン脱アセチル化に伴い認められるヒストンH3K9のメチル化、およびヘテロクロマチンプロテイン(HP1)の結合量上昇は観察されず、エピゾーム形態である本ウイルスのエピジェネティック制御は細胞核DNAにおけるそれとなんらかの差異があると推察されている。 今後はこのウイルスの遺伝子発現制御機構をエピジェネティック制御の視点からその分子機構を明らかにしていくと共に、酪酸ナトリウム存在下においても転写不可能な遺伝子についてもその分子基盤を解析していく。
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Research Products
(4 results)