2006 Fiscal Year Annual Research Report
異物代謝酵素CYP2D3発現の個体差を引き起こす新規調節機構の解明
Project/Area Number |
06J04513
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
酒井 紀彰 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | チトクロームP450 / 遺伝多型 / Dark Agoutiラット / CYP2Dサブファミリー |
Research Abstract |
これまでの研究で、ラットの系統間及び個体間でCYP2D3に遺伝的多型が存在することを明らかにしてきた。さらにCYP2D3と同じCYP2Dサブファミリーの一員である、CYP2D2もラットでは同様に非常に多くの医薬品の代謝を行う重要なシトクロムP450であることが報告されている。ラット系統によってCYP2D2は発現量に違いがあることが知られているが、その発現調節機構に関する詳細な報告はいまだされていない。そこで、今年度はCYP2D2の発現調節機構および低発現系統におけるその低発現機序について明らかにするため、以下の解析を行った。 まず、CYP2D2遺伝子の5'上流領域におけるラット系統間での違いの有無を確認するため、5'上流域4Kbをクローニングしてシークエンス解析を行った。その結果、CYP2D2mRNA低発現系統であるDark Agouti(DA)ラットの雌雄において、一塩基置換を確認した。一方、高発現系統であるSprague-Dawleyラットでは変異は認められなかった。そこで、この変異が発現調節に与える影響および発現調節領域を検討するために、次にプロモーター解析を行った。5'上流域から欠失変異体を作製してルシフェラーゼアッセイを行ったところ、転写調節領域と予想される領域を同定した。加えて、DAラットで検出された変異がこの転写調節領域に含まれていることから、DAラットと同じ変異を導入した欠失変異体を作製して野生型との転写活性の比較を行った。その結果、変異を含む欠失変異体では野生型に比べ転写活性が約20〜30%に低下しており、DAラットは他の系統に比べCYP2D2mRNA発現量が約30%であると言う従来の報告と一致するものであった。以上のことから、DAラットにおけるCYP2D2mRNAの低発現は転写調節領域内の一塩基置換による可能性が考えられる。
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