2007 Fiscal Year Annual Research Report
異物代謝酵素CYP2D3発現の個体差を引き起こす新規調節機構の解明
Project/Area Number |
06J04513
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
酒井 紀彰 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | チトクロームP450 / 遺伝多型 / Dark Agoutiラット / CYP2Dサブファミリー |
Research Abstract |
これまでの研究で、ラットの系統間及び個体間でCYP2D3に遺伝的多型が存在することを明らかにしてきた。さらにCYP2D3と同じCYP2Dサブファミリーの一員である、CYP2D2もラットでは同様に非常に多くの医薬品の代謝を行う重要なシトクロムP450であることが報告されている。ラット系統によってCYP2D2は発現量に違いがあることが知られているが、その発現調節機構に関する詳細な報告はいまだされていない。そこで、昨年度に引き続き今年度もCYP2D2の発現調節機構および低発現系統におけるその低発現機序について明らかにするため、以下の解析を行った。 昨年度の研究で、CYP2D2mRNA発現量が低い系統であるDAラットにおいてのみCYP2D2遺伝子の5'上流域に一塩基置換があることを見出した。さらにルシフェラーゼアッセイを用いて、この一塩基置換は転写調節領域内に含まれていること及び転写活性を著しく低下させることを明らかとしてきた。そこで本年度は、この一塩基置換が核蛋白質とDNAの結合に与える影響を調べるため、ゲルシフトアッセイを行った。その結果、一塩基置換を含む変異型のプローブは核蛋白質との結合親和性が低下することが明らかとなった。一方、ラット系統間での核蛋白質の違いは結合親和性に影響を与えなかった。つまり、DAラットにおいて見出した一塩基置換によって核蛋白質内の転写調節因子とDNAとの結合親和性が低下する事により、CYP2D2mRNA発現量が低下している事が明らかとなった。 今後は、MALDI TOF MSを用いてCYP2D2の転写に関与する転写調節因子の同定を試みる予定である。
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Research Products
(3 results)