2007 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の再生鱗をモデルとした骨石灰化の分子機構の解明:骨再生機構研究の新展開
Project/Area Number |
06J04520
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小川 展弘 Hokkaido University, 大学院・水産科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 鱗 / 再生 / 石灰化 / バイオミネラリゼーション / ハイドロキシアパタイト |
Research Abstract |
1.昨年に引き続き、鱗から結晶形成を誘導する可能性のあるタンパク質の検出を行った。EDTAで可溶化させたタンパク質をSDS-PAGEで分離後、PVDF膜に転写、生理的塩類溶液中で培養する。この膜にアリザリンレッドS染色を施すことで結晶形成を誘起したタンパク質をバンドパターンとして検出した。これと培養鱗のEDTA可溶性タンパク質を比較し、共通に26kDaのタンパク質を見出した。このタンパク質のアミノ酸配列を解読し、相同性検索を行ったところapolipoprotein A-I(ApoA-I)であった。このタンパク質は鱗の初期石灰化と強く関係すると推察される。 2.ApoA-Iは肝臓で合成され、血中で高密度脂質タンパク質(HDL)を構成するタンパク質であることが知られている。そこで、このタンパク質のmRNA発現解析を行った結果、再生鱗ではなく、肝臓で発現が認められた。このことから、このタンパク質は肝臓で合成され、血液を介して鱗に導入されると推察された。 3.HDLを未変性条件下で鱗と血液から精製した。これらを構成するタンパク質はSDS-PAGE上で違いが認められなかった。しかし、Native-PAGEでの泳動度にわずかな違いが認められたことから、結合している脂質などに違いが存在する可能性が示された。また、それぞれを生理的塩類溶液中で培養すると鱗のHDLは不溶化した。これらのことから、血液から導入され構造に変化を受けたHDLは鱗の再生部位や成長部で不溶化後、鱗の基質として石灰化すると推察された。
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Research Products
(5 results)