2006 Fiscal Year Annual Research Report
生活環との関わりから見たハダニ類の捕食回避戦略の解明
Project/Area Number |
06J04537
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
奥 圭子 岡山大学, 大学院環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カンザワハダニ / ケナガカブリダニ / 交尾前ガード行動 / 捕食リスク / 雄成虫 / 静止期雌 |
Research Abstract |
ハダニの雌にとって初回交尾のみ有効なので、雄成虫は成虫化前の静止期雌をガードする。しかし、複数の雄にガードされる雌と単独の雌がしばしば同じ葉上で観察される。なぜこのような違いが生じるのか、カンザワハダニを用いて検証した。雄にガードされた雌と単独雌が同じ葉上に居ると、雄成虫の多くは前者の雌を選んだ。雄成虫の存在は影響しなかったが、雄成虫の代わりに若虫に雌をガードさせた場合でも雄は単独雌よりもその雌を選んだ。このことから、雄にガードされた静止期雌が他の雄を誘引すると考えられた。その一方、雄にガードされた雌は単独の雌よりも捕食者のケナガカブリダニに見つかりやすかった。そこで、ハダニの静止期雌が雄にガードされることで受動的に他の雄も誘引するのか否か調べた。静止期の前に捕食者と同居した雌と同居しなかった雌間で雄の誘引性を比較したところ、事前に捕食者と同居した静止期雌は同居しなかったものに比べて雄成虫を誘引しなかった。このことから、ハダニの静止期雌は周囲の状況に応じて雄を誘引するか否か決めていると考えられた。 また、雄成虫による交尾前ガード行動と雌による静止場所選択の関係にろいて捕食回避の視点から検証した。ハダニの静止場所は葉脈沿いが多く、雄成虫は他の部位で静止した雌よりも葉脈沿いの雌を見つけやすかった。しかし、葉脈沿いで静止した雌はカブリダニに見つかりやすかった。静止期に入る前にカブリダニに遭遇したハダニの雌は葉脈沿い以外の部位で静止するようになった。また、雌をガードする雄は単独のものよりもカブリダニに見つかりやすく、捕食者が居ると雄成虫は捕食者が居ない場合に比べて雌をガードしなくなった。しかし、雄が被る捕食リスクは単独時の方が高く、捕食者存在時に雄は葉脈沿いの雌よりも他の部位の雌をガードする傾向が見られた。
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Research Products
(1 results)