2006 Fiscal Year Annual Research Report
砂岩に生息するアナジャコ類の生活史とアナジャコ類の生態における多様性の解明
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06J04581
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
平野 優理子 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 待別研究員(DC2)
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Keywords | アナジャコ / 砂岩 / 西表島 / 生活史 / 新種 |
Research Abstract |
本研究では、アナジャコ類の多様性を明らかにするために、西表島の潮間帯の砂岩に生息するアナジャコ類について、分類、記載および初期生活史を調べた。 野外調査の結果、西表島の砂岩には4種のアナジャコ類が生息しており、1種は2004年に日本初記録種として報告した種(Upogebia snelliusi)、3種は新種であることが判明した(U.saigusai, U.iriomotensis, U.spinidactylus)。また、砂岩に生息するアナジャコは、周囲の干潟からは採集されず、基質選択性が非常に高いことが明らかになった。これにより、日本での生息が確認されたアナジャコ類は13種から17種に増え、特に南西諸島におけるアナジャコ類の分布や多様性について新たな知見が得られた。 西表島に生息するアナジャコ類の繁殖期は、生息基質に関係なく3月から7月ごろで、本州に生息するU.majorやU.yokoyaiなどのアナジャコ類とは時期が大きく異なっていた。初期生活史については、干潟に生息するU.yokoyaiと砂岩に生息するU.snelliusiにおいて、それぞれ3期のゾエア幼生期を経てデカポディッド幼生になることが判明した。これら2種の幼生は、形態は非常に似ているが、脱皮後の成長度や脱皮周期に違いが見られた。また、砂岩に生息するU.snelliusiとU.iriomotensisを比較すると、成体の大きさはほとんど同じであるが、U.snelliusiが大卵少産であるのに対して、U.iriomototensisは小卵多産で、艀化後の幼生のサイズや脱皮周期に違いが見られた。これらの結果から、幼生の形態や初期生活史と成体の生息基質の間には関連性がないことが示唆され、幼生の形態や成長様式は生息基質によって変化しない原始的な形質を維持していると考えられる。
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Research Products
(1 results)