2006 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスの増殖制御因子および複製に関与する細胞側因子に関する解析
Project/Area Number |
06J04590
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
阿部 健一 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / ウイルス複製 / 複製効率 / 遺伝的変異 / スタチン剤 / 無血清培地 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルスの増殖制御因子として、まずウイルス側の因子について検討した。全長HCV RNA複製細胞である0細胞以外に全長HCV RNA複製細胞を4種類樹立し、ウイルス側の遺伝的変化ついて検討したところ、NS3領域に少なくとも1つのアミノ酸置換が見つかった。サブゲノムHCV RNAが効率よく複製するためにはNS5A領域のアミノ酸置換(S2200R)のみで十分であったが、全長HCV RNA複製が効率よく複製するためには、NS5A領域のアミノ酸置換(S2200R)に加えて、今回見つかったNS3領域のアミノ酸置換(Q1112R,P1115L,E1202G,K1609E)が必須であることを明らかにした。また、これらのアミノ酸置換を2種類組み合わせることにより、1種類のアミノ酸置換よりも強力にHCV RNA複製が行われることを明らかにした。 HCV RNA複製を制御する因子として、「脂質」の存在を明らかにした。高脂血症の治療薬である「スタチン剤」を全長HCV RNA複製細胞に添加すると、HCV RNA複製が抑制されること、および、セレニウムを添加した無血清培地中に脂質を含むアルブミンを添加すると全長HCV RNA複製が維持されることから、HCV RNA複製には脂質が必須であることを明らかにした。 次に、細胞側の因子を同定するために、「HCV RNAの複製しにくい細胞」を樹立することを目指した。 選択の結果、「HCV RNAの複製しにくい細胞」を樹立することができた。我々が現在までに樹立し、効率よくHCV RNA複製する細胞から、cDNAライブラリーを構築し、得られたcDNAライブラリーをレトロウイルスベクターに組み込み、「HCV RNAの複製しにくい細胞」に導入し、HCV RNAの複製効率に影響を与える遺伝子のスクリーニングを開始した。
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Research Products
(5 results)