2006 Fiscal Year Annual Research Report
階層システムの生成・変動メカニズムの数理モデルによる解明
Project/Area Number |
06J04611
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
石田 淳 関西学院大学, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 社会階層 / 不平等 / 数理社会学 / 社会変動 / 社会意識 / フォーマル・セオリー |
Research Abstract |
本研究は,階層システムの生成・変動メカニズムを解明する数理モデルの構築を目指すことを目的とする.本年度は特に,階層システムが人々の認識・意識を規定するメカニズムの解明を中心に,より広い視点からも研究を行い,次年度以降の研究の基礎作りを行った. 第一に,社会システムが人々の認識・意識のあり方に影響を与える過程について多角的な検討を行った.具体的には,階層関連意識の一つである主観的幸福感と客観的社会状態との関連を,国際比較データを用いた分析によって明らかにすることを試みた.この成果の一部は国際会議において報告した.このとき分析手法の一つとしてプール代数分析を用いたが,この手法は以前から注目しており,言語権運動発生条件の解明への応用(2006年度にSocial Forces誌上で成果発表)や,人々のもつ社会的カテゴリーについての認識の分析への応用(2007年度に『ソシオロジ』誌上で成果発表)など,さまざまな応用研究を行っている.さらに,筆者が研究協力者として参加している2005年SSM調査(文部科学省科学研究費補助金(特別推進研究)『現代日本階層システムの構造と変動に関する総合的研究』研究代表者:佐藤嘉倫・東北大学文学研究科・教授)の調査データを分析し,階層帰属意識・生活満足感などの階層関連意識と階層変数との結びつきの時代的変化を分析している. 第二に,階層の経験的意味を再検討するために,「潜在的な格差」をも考慮する階層枠組みについて検討を行った.この成果の一部は,大規模災害という突発的出来事についてのヴァルネラビリティを「資産ダメージ率」という指標で把握する試みとして,『先端社会研究』誌上で発表した. 次年度は,これらの成果を踏まえて,意識を媒介にした階層システム変動メカニズムのモデル化に本格的に取り組む.
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Research Products
(5 results)