2008 Fiscal Year Annual Research Report
階層システムの生成・変動メカニズムの数理モデルによる解明
Project/Area Number |
06J04611
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
石田 淳 Kwansei Gakuin University, 社会学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 社会階層 / 不平等 / 数理社会学 / 社会変動 / 社会意識 / フォーマル・セオリー |
Research Abstract |
本研究は,階層システムの生成・変動メカニズムを解明する数理モデルの構築を目指すことを目的とする.本研究の課題は大きくは,(1)階層システム生成についての原理的考察,(2)階層システム変動メカニズムのモデル化・解明,の2点に分けることができる.本年度は前年度に引き続いて.(2)に関連して,人々の行為・選択の集積により次時点の階層システムが決定される局面に関するモデル化を中心に研究を進めるとともに,研究代表者が研究協力者として参加している2005年SSM調査の調査データを分析した. 具体的な成果としては,任意の分配方法によって社会的資源を再分配した場合に,人々の幸福感にどのような変化が生じ,社会的幸福の総計がどう変化するかをデータ上で実際に再分配を実施することで予測するモデルを定式化した.この成果の一端であるSSM調査データを用いた分析結果を『社会学評論』誌上で発表した.また,世界価値観調査データを用いたグローバルな富の再分配分析結果を世界社会学機構研究大会において報告した.さらに,この研究プログラムに関連して,人々の幸福観の具体的諸相を探るために,幸福理由のテキスト・マイニング分析を実施した.さらに,階層システム変動メカニズムに関連する数理モデルとしては,リスクのある経済活動を前提とする社会において,人々の相対的剥奪感(不満感)が生じるメカニズムを,Boudon-Kosakaモデルを拡張し分析した.また,関連する研究としては,モデル化の前提となる戦後日本社会の階層的・社会地理学的変動の総合的研究を見据えて,まずは戦時期の日本における社会的人員配置を検討した.
|
Research Products
(8 results)