2006 Fiscal Year Annual Research Report
サッカードの軌道曲率を用いた注意制御要因による顕著性算出メカニズムの解明
Project/Area Number |
06J04657
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
寺尾 将彦 関西学院大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サッカード / 時空間統合 / 視覚的注意 |
Research Abstract |
サッカードの軌道特性を解明するためには、まず、サッカード前にどのような情報処理が行われているかを調べる必要がある。そこで、サッカード直前の情報がどのように時空間統合されるのかを検討した。サッカードによって空間情報が様々な変調を受ける事が知られているが、時間情報がどのように処理されているのかの報告はほとんどない。それに関してMorrone et al (2005, Nat.Neurosci, 8,950-954)はサッカード直前に100msのSOAが半分程度に知覚される事を報告した。これは比較的低次の神経システムで符号化されている可能性の高い100ms程度の短い時間知覚のメカニズムを明らかにする上で非常に重要な知見であるが、なぜサッカードが時間を縮めるのかは不明である。報告者はこれが、サッカードに伴う過渡的信号への反応の減衰によるものであると推測し、同様の時間知覚の短縮がサッカードを行わない注視時にも生じることを発見した。具体的には、二つの視覚刺激(SOA:100ms)の時間間隔を判断する課題において、輝度フリッカをノイズとして刺激と同時に呈示すると、SOAが実際よりも約半分程度に短く知覚された。この短縮はSOAが長い場合(500ms)では認められなかった。さらにこの現象は、刺激と背景の色コントラストを下げることによっても生じた。本研究によって刺激の過渡的変化の見えが短時間の間隔知覚に重要な役割を果たしている事が明らかになった。さらにこの現象はサッカードによる時間短縮にサッカードに伴う見えの低下が関わる事を示している。
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