2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外因子による哺乳類オートファジーの制御機構の解析
Project/Area Number |
06J04692
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
砂山 潤 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | オートファジー / インスリン / LC3 / ストレプトゾトシン |
Research Abstract |
内分泌因子インスリンが哺乳類個体レベルにおいて、飢餓時に様々な組織で起こるオートファジーの制御因子であるかをLC3のconversionで検討した。LC3は細胞が栄養飢餓にさらされるとサイトゾルに存在するLC3-Iが膜結合形LC3-IIになる。マウスを24時間飢餓後に再摂食させたところ心臓及び骨格筋では血中インスリン濃度減少とLC3-IIの増加が逆相関であった。肝臓では飢餓でLC3-IIが増加し、再摂食2時間では減少したが、再摂食8時間経過すると心臓及び骨格筋のLC3-IIは減少を続けたのに対し、肝臓では再びLC3-IIが増加しており、臓器によって再摂食時のオートファジーの挙動が異なることが明らかとなった。 次に個体レベルでのインスリンの関与を検討する為に、ストレプトゾトシン(STZ)を投与してインスリン分泌不全マウス(I型糖尿病モデル)を作製した。このマウスの心臓及び骨格筋ではLC3-IIが増加し、インスリン投与により減少した。しかし、肝臓ではLC3に変化は見られなかった。また、インスリン以外のオートファジー制御因子が存在するのかを調べる為に、インスリン欠乏状態のSTZ投与マウスを飢餓にしたところ、骨格筋ではSTZ投与によるLC3-IIの増加は飢餓にしても変化はなかった。しかし、心臓では血中インスリン濃度の減少がないにも関わらず、STZ投与により増加したLC3-IIは飢餓により更に増加した。この時、肝臓のLC3に動きはなかった。 以上からインスリンがin vivoにおけるオートファジー抑制因子であることが示唆された。しかし、臓器によってインスリンに対するレスポンスが異なり、骨格筋ではインスリンが主要な抑制因子であること、心臓ではインスリンによる制御を受けているが未知因子も関与している可能性が示唆された。肝臓ではインスリンによって制御されていない可能性が示唆された。
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