2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J04712
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
児島 康宏 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | グルジア語 / 統語論 / 意味論 / 複文 / 従属節 |
Research Abstract |
2006年5月にトビリシ国立大学において開催された第5回グルジア学国際シンポジウムにおいて、現代グルジア語の使役構文について発表を行なった。また、2006年11月に札幌学院大学で行なわれた日本言語学会第133回大会では、現代グルジア語において従属節を形成する接続詞あるいは補文標識romが、従属節の最初の位置に現れたり内部に現れたりするのが、従属節の命題の語用論的な性質と相関していることを主張した。すなわち、従属節の命題が前提(presupposition)に属するものである限り、romが従属節の内部に現れることができる。この内容は、更に考察を進めたうえで、2007年中に論文の形にまとめることを考えている。 2007年中に刊行される予定の論文"Two types of relative clauses in Modern Georgian"では、現代グルジア語に見られる2種類の定の関係節-関係代名詞を用いるものと、romを用いるもの-のあいだに観察される、これまでの研究では知られていなかった機能的な違いを指摘した。romを用いる関係節は、関係代名詞を用いる関係節とは異なり、常に制限的関係節としてしか用いることができない。また、romを用いた関係節における法の対立についても触れ、接続法の関係節の用いられる場合や、直説法のrom関係節の語用論的な機能について論じた。 2006年の夏にはグルジアに約3週間滞在し、トビリシ市やグルジア東部でフィールドワークを行なった。同時に、現地の研究者らと交流を深めたり、研究資料・文献を入手した。 1年目はとくにromによってつくられる従属節の構造や語用論的な性質に注目して研究を進めた。romによってつくられる関係節や補文の重要な特徴を指摘することができた。今後は、それ以外のタイプの従属節についても考察の対象を広げていき、グルジア語における統語論と意味論・語用論の関係性について全体的な像を描くことを目指したい。
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Research Products
(1 results)