2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J04743
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
齋藤 慈子 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所モデル動物開発部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 社会行動 / オキシトシン / バソプレシン / 親行動 / 霊長類 / マーモセット |
Research Abstract |
近年げっ歯類の研究から、社会行動にかかわる認知機能が、ペプチドホルモン(オキシトシン、バソプレシン)によって左右されるということがわかってきている。これらの研究結果から、ヒトの自閉症とペプチドホルモンの関連が指摘されているが、ヒトを含む霊長類では、げっ歯類と異なり、社会的情報処理が視覚的、聴覚的手がかりに大きく依存していること、親和的行動が非常に複雑であることを考えると、げっ歯類の研究結果を直接ヒトへ外挿することには問題があるであろう。そこで本研究では、小型霊長類であるマーモセットを対象に、社会行動における霊長類とげっ歯類の相違を明らかにした上で、社会行動における、オキシトシン、バソプレシンの役割を、それらおよびそれらの拮抗剤を投与することによって検証することを目的とする。本年度は社会行動の中でも親行動に着目し、以下の内容を実施した。 1.食物分配実験の実施:マーモセット類で特徴的な親行動のひとつとして、食物分配行動がみられるが、この行動は、親の子どもへの寛容性の指標となると考えられる。親から子への食物分配が、子の週齢により変化するか否かを検証した結果、父親、母親ともに、年長の子に対して有意に多く拒絶行動を示し、年少の子に対しては有意に多く食物分配行動を示すことがわかった。 2.食物分配行動における神経ペプチドの影響:父親を対象に、神経ペプチド(オキシトシン、オキシトシン受容体拮抗剤、バソプレシン受容体拮抗剤)を脳室内へ投与し、食物分配行動が変化するか否かを検証した。オキシトシン投与により、拒絶行動が減少し、オキシトシン拮抗剤とバソプレシン拮抗剤の同時投与により、拒絶行動の増加がみられた。
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Research Products
(3 results)