2006 Fiscal Year Annual Research Report
「抱き」を介した情報収集の技法化-乳児保育と育児支援のための教育・測定ツール作成
Project/Area Number |
06J04749
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
西條 剛央 国立精神・神経センター, 精神保健研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 発達心理学 / 抱き / 抱きやすさ |
Research Abstract |
「抱き」を介した情報収集の技法化に向けて、養育・保育現場に有用な知見を得るためには、保育士のみならず、母親と保育士の情報収集の質的異同を比較することによつて、より立体的なモデルが作れると考えられたため、家庭と保育園にフィールドを確保し、インタビュー調査並びに長期間のフィールドワークを行ってきた。 まず、その基礎としてフィールドワークを通してグラウンデッド・セオリー・アプローチにより暫定的な仮説モデルを生成し、それに基づき質問紙を作成した。そこで得られたデータをもとに母親が乳幼児を抱いたときに感じる抱きやすさはどのように構成され,また乳幼児の行動発達とどのように関係しているのかを検討することとした。赤ちゃんを抱っこしたときの「抱きやすさ」「しっくり感」「重たく感じる」、さらに乳幼児の行動として,抱っこから降りたがる「抱降」行動と,「じっとしている」程度についてパスモデルで分析した。また,乳児の発達がこれらに与える影響を分析するために,自分で移動できる乳児と,移動できない乳児群に分けて,多母集団分析をおこなった。 推定されたパスモデルから,抱っこ時の「しっくり感」は、赤ちゃんが抱っこ時に「じっとしている」かどうかよりも、主に「抱降行動」(抱っこから降りようとする行動)と関係していることが明らかとなった。そして、抱っこがしっくりくる場合に「抱きやすさ」が高く、また重たく感じない。一方、赤ちゃんの抱降行動が多いとしっくり感と抱きやすさがどちらも低下するが、抱降行動が抱きやすさとしっくり感に与える影響は、抱っこの形態及び赤ちゃんの発達によって違うことが示唆された。 現在,これらの分析結果に基づいて,「抱き」を介した情報収集に関する基礎的な知見を得るために引き続き分析を続けており、また理論的サンプリングを行うためのフィールドワークならびに新たな調査の計画を検討している段階である。
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Research Products
(1 results)