2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J04770
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
柿崎 智博 岩手大学, 農学部附属寒冷バイオシステム研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 葉緑体 / 葉緑体シグナル / オルガネラ / タンパク質透過 |
Research Abstract |
葉緑体包膜状に存在するタンパク質透過装置の一部(Toc159)が欠失している変異体(ppi2変異体)では、核遺伝子の発現パターンが変化していることから、葉緑体-核間のシグナル伝達経路が恒常的に活性化/不活化していることが予想されていた。本年度は、葉緑体から核へと伝達される葉緑体シグナルを同定するため以下の2点について解析を行った。 1,遺伝子発現のプロファイリング リアルタイムPCR・ウェスタンブロット法により、ppi2変異体における葉緑体タンパク質遺伝子の発現を解析した。ウェスタンブロットの結果、解析に供した13種類の核コード葉緑体タンパク質のうち、RubisCO small subunit, LHCP, PORA等の光合成関連タンパク質の蓄積が顕著に減少していることが分かった。さらに、リアルタイムPCRの結果から、これらのタンパク質をコードする核遺伝子の発現も合わせて抑制されていた。一方で、核コード葉緑体タンパク質ではあるものの、光合成に直接関係しないと考えられるピルビン酸脱水素酵素Elaやプラストキノン合成経路のメチルトランスフェラーゼであるIEP37等はタンパク質蓄積・遺伝子発現共に野生型と同様であった。以上のことから、ppi2変異体では光合成関連遺伝子の発現をコントロールする葉緑体シグナルが特異的に変化していることが示唆された。 2,誘導性Toc159 RNAi個体の作製 Toc159の発現減少が核コード葉緑体タンパク質遺伝子に与える影響を経時的に解析するために、エストロゲンにより発現が誘導されるプロモーターの制御下にToc159のRNAiカセットを挿入したコンストラクトを作製し、シロイヌナズナに導入した。20uMのエストロゲンを24時間処理した結果、RNAiカセットの発現誘導およびToc159の発現抑制がみられた。次年度はこの形質転換体を用いて、詳細な発現解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)