2007 Fiscal Year Annual Research Report
ザゼンソウの発熱制御機構におけるAOXおよびUCPb遺伝子の共発現の意義の解明
Project/Area Number |
06J04775
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
恩田 義彦 Iwate University, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ザゼンソウ / 発熱植物 / シアン耐性呼吸酵素 / AOX / 脱共役タンパク質 / UCP / ミトコンドリア |
Research Abstract |
平成19年度は、昨年度に引き続き、ザゼンソウの肉穂花序・小花より精製したミトコンドリアにおけるAOXおよびUCPの機能解析を行った。特に本年度は、昨年度セットアップした酸素消費と膜電位を同時に解析出来る測定装置を用い、単離ミトコンドリアにおけるUCPの機能解析を中心に研究を推し進めた。この測定装置の特徴は、従来の呼吸測定に使用されるクラーク型酸素電極とは測定原理が異なる酸素プローブを用いていることにある。このことにより、同一ミトコンドリアの酸素消費量と膜電位形成機能を同時に測定することを可能としている。本測定装置を使用してUCPの機能解析を行った結果、遊離脂肪酸の1つであるリノレン酸の添加によって酸素消費量の増大および膜電位の低下が観察され、ザゼンソウのUCPはリノレン酸によって活性化されることを明らかにした。 さらに、ザゼンソウの肉穂花序における恒温性維持のメカニズムを明らかにすることを目的とした研究も実施した。外気温が大きく変動する環境下で肉穂花序の温度をほぼ一定に保つためには、ミトコンドリアにおける呼吸を積極的に制御する必要がある。つまり、AOXやUCPによって制御される発熱レベルが、外気温の変動に応じて調節される必要があると考えられる。この仮説を検証するため、異なる発熱レベルの肉穂花序におけるAOXおよびUCPタンパク質の発現レベルを比較した。外気温を10.3℃から23.1℃にもしくは8.3℃から24.9℃に上昇させて発熱レベルを減少させた際、AOXおよびUCPタンパク質の発現レベルは有意な変動を示さなかった。これらの結果は、ザゼンソウの肉穂花序における恒温性の維持には、AOXやUCPの転写・翻訳レベルの調節は重要ではなく、これらタンパク質の翻訳後修飾による活性制御が重要な働きを担っていることを示唆している。
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Research Products
(5 results)