2007 Fiscal Year Annual Research Report
磁気シールドルームを必要としない自由空間型生体磁気計測用SQUID磁束計の開発
Project/Area Number |
06J04784
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小山 大介 Iwate University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DCI)
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Keywords | 心磁図 / 超伝導量子干渉素子(SQUID) / FLL回路 |
Research Abstract |
本研究はSQUIDを制御する回路(FLL回路)をデジタル化し、高性能かつ廉価なSQUID磁束計の開発を行っている。平成18年度の研究では、低周波領域において高ダイナミックレンジが得られ、磁気シールドルームの外での心磁図計測に成功した。しかし、回路に用いたワンチップマイクロコントローラの動作速度の制約により、高い周波数特性を得られることができず、高周波の磁気ノイズによってシステムが不安定になることがしばしばあった。 この問題を解決するために、デジタル・アナログ両方を用いた制御方法を提案した。低周波は平成18年度までに開発しているデジタルFLL回路を用いて高ダイナミックレンジを確保し、同時に、高速動作可能なアナログ回路によって広帯域を実現する。従来型では直流から1kHz程度であった動作領域が30kHz程度まで拡大された。同時に、磁気シールドルーム外の磁気ノイズ除去に関する信号処理の研究も進行させている。 また、これまでは液体ヘリウムを用いて冷却する低温超伝導SQUIDを用いていた。しかし、液体ヘリウムは、現在価格が急騰中であり、更に備蓄量の減少が懸念されている。将来的な実用性を考慮し、本研究では液体窒素で冷却可能な高温超伝導SQUIDや新しい超伝導体であるMgB_2 SQUIDに関する検討も行っている。制御回路の動作原理は低温超伝導SQUIDを用いた場合と同じであるが、これらのSQUIDは一般的に低温超伝導SQUIDより出力電圧が小さく、電磁波ノイズの影響を受けやすい。このため、制御回路のより精密な調整が必要となる。本研究ではデジタルFLL回路の調整方法について考察し、高温超伝導SQUIDやMgB_2 SQUIDを用いた場合でも高ダイナミックレンジが得られる方法を確立した。 平成20年度は本研究の最終年度であり、磁気シールドルームを必要としない自由空間型生体磁気計測用SQUID磁束計を完成させる予定である。
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