2006 Fiscal Year Annual Research Report
タヒチ化石サンゴ骨格記録に基づいた最終氷期最盛期〜最終間氷期の古海洋環境復元
Project/Area Number |
06J04840
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅海 竜司 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | タヒチ / サンゴ / 古海洋 / 古気候 / 第四紀 / 南太平洋 |
Research Abstract |
2005年度に施行された統合国際深海掘削計画(IODP)のExpedition 310航海(Tahiti Sea Level)に参加し,サンゴ礁堆積物から掘削された化石造礁サンゴを採取した.得られた化石サンゴの生息当時の年代は後期更新世〜完新世に相当する.本研究課題の最も重要な目的の一つは,過去2万年間に生息した化石サンゴ骨格から古水温・古塩分の時系列データを抽出し,南太平洋における古海洋環境の変遷(特に,季節変化から数年スケールの気候変動現象)を復元することである.そのためには,長期の骨格記録を保持する未変質の化石サンゴ試料を選定する必要がある.そこで,採取した化石サンゴ試料の中から比較的大きい試料を選定し,軟X線写真撮影を行って骨格の年輪が明瞭に認められる試料について切断・整形を行った.そして,それらの骨格成長量の解析を行うために再び軟X線写真撮影を行った.その結果,選定した試料には年輪に相当する明暗の密度バンドが明瞭に認められ,年間の骨格伸長量はおよそ数mm〜2cmであることがわかった.次に,化学分析に適切な試料かどうか判断するために,化学分析の測線に沿ってX線回折分析ならびに電子顕微鏡観察を行い,続成作用の影響を被っていない試料を選別した.そして,前処理・分析試料の削り出しを行った後,現在,炭素・酸素同位体比および金属元素濃度の分析を行っている.化学組成の時系列データは1サンプルあたり1週間〜1ヶ月の高時間解像度であり,それらには明瞭な季節変化が認められた.今後,フランスの研究機関に依頼している化石サンゴ試料の年代測定や,本航海に参加した他の研究者によって得られる地球化学的・地質学的・生物学的データと併せて定量的な解析を行う.
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Research Products
(2 results)