2006 Fiscal Year Annual Research Report
火山噴火の様式を支配する脱ガス率の定量化:マグマ中の気泡の変形とその効果
Project/Area Number |
06J04841
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥村 聡 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | マグマ / 火山噴火 / 気泡 / 剪断変形 / 脱ガス / 気泡合体 / 気泡変形 / X線トモグラフィ |
Research Abstract |
マグマ上昇中に起こる脱ガスの効率を決定することは,火山噴火の多様性の原因を理解するために重要である.特に,これまでほとんど検討されていない剪断応力下における気泡組織の進化を検討することは,脱ガスメカニズムを理解するために必要不可欠である.本研究の目的は,剪断変形に伴う気泡組織の進化を明らかにし,その結果を基に脱ガス率を定量化することである. 本年度の主要な研究成果としては,以下の3点が挙げられる.第一に,高温高圧下において実際の発泡したマグマを剪断変形させることに成功した点である.この実験のために,実験装置およびセル構成などについて多くの工夫を行った.第二に,上記の実験とX線マイクロトモグラフィ法を利用することで,剪断変形による気泡組織の進化について検討した点である.特に,気泡量の少ない条件でも剪断変形によってマグマ中の気泡合体が進行することを世界で初めて示し,この結果を国際誌にて発表した.第三に,気泡量および剪断変形量の増加に伴い気泡合体が進行したマグマ中では,ネットワーク上のガス相が形成されることを上記の実験から見出した.このネットワークはこれまでの想定よりも深い部分で形成されている可能性があり,今後,噴火様式の多様性との関係を検討する必要がある.この成果については国際誌に発表準備中である. 上記の成果を踏まえて,来年度は勢断変形に伴う気泡組織の進化と脱ガスとの関係に注目して研究を進める予定である.
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