2007 Fiscal Year Annual Research Report
火山噴火の様式を支配する脱ガス率の定量化:マグマ中の気泡の変形とその効果
Project/Area Number |
06J04841
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥村 聡 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | マグマ / 火山噴火 / 気泡 / せん断変形 / 脱ガス / 浸透率 / 気泡変形 / 火道 |
Research Abstract |
マグマ上昇中に起こる脱ガス率を決定することは,火山噴火の多様性の原因を解明するために重要である.特に,これまでほとんど検討されていないせん断応力下における気泡組織の進化を検討することは,脱ガスメカニズムを理解するために必要不可欠である.本研究の目的は,実験的にせん断変形に伴う気泡組織の進化を明らかにし,またその進化に伴うガス浸透率の変化を定量化することで,マグマ脱ガス率に対するせん断変形の効果を検討することである. 昨年度の研究成果として,せん断変形によりマグマ中の気泡合体が促進されることが示された.今年度は,この気泡合体の促進をさらに広い条件下(大きな歪領域)で確認した.この実験では,申請者らが独自に開発したピストンシリンダー型の高温高圧変形装置を用いて行った.また,気泡組織の観察は大型放射光施設SPring8のX線CTを用いて行った.この成果は国際誌に投稿し,まもなく受理される予定である.さらに,実験試料の浸透率を測定するために浸透率測定装置を自作し,実際に測定を開始した,その結果,せん断変形により浸透率が2-4桁程度も上昇する可能性が見出された.この結果は,火山ガスの観測などから提案されていた火道深部からの脱ガスのメカニズムとして,せん断変形に伴うマグマのガス浸透率の上昇の可能性を示唆する.この成果については国際誌に発表準備中である. 上記の成果を踏まえて,来年度は噴火様式に対する脱ガスの効果について考察を行っていく予定である.
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