2006 Fiscal Year Annual Research Report
美の機能的・モジュール的特性に関する脳科学的・心理学的検討
Project/Area Number |
06J04848
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 美穂 東北大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | PET / fMRI / 美 / 好意感情 / 感覚モダリティ / 音楽 |
Research Abstract |
本年度は、PETおよびfMRIなどのニューロイメージング装置を用いて、美の多面性について脳科学的に検討を行うと同時に、心理的実験でも美や好みの知覚特性を明らかにした。第1に、和音刺激を用いて、和音旋律の調性(短調・長調)と美醜の組み合わせによって生じる脳活動を測定した。一般的に、音楽における調性は楽曲のイメージを決定するのに不可欠な構成要素であり、短調・長調はそれぞれ暗い、明るいといった対照的な印象を喚起する。我々は、同じように美しい音楽でも、こうした両調性の和音刺激から喚起される美感に関与している脳部位が異なることを明らかにした。これらの結果については、国際会議などで学会発表し、すでに海外ジャーナルに投稿をおこなった。 第2に、fMRIにより視覚芸術を鑑賞しているときに生起する多面的美的印象に対応する脳活動計測実験も実施した。美的刺激は単に美しいという感覚のみならず、「やわらかい」「硬い」「はげしい」「おだやか」などの感覚イメージが伴う。これらにかかわる部位の特定を行い、現在、最終的な解析段階にきている。今年度前半には、これらの解析を終え、学会発表等を行う予定である。 第3に、心理学的手法を用いて、好意感情と感覚モダリティの関連について検討し、触覚的と視覚で好意の転移、すなわち、一度見た刺激を後に手で触った場合に好意感情が増加しやすいことを明らかにした。これらの知見は、Cognition & Emotionに掲載予定である。 さらに、感覚モダリティと美的印象の関係をより数量的に計測する新たな手法を開発した。これは、刺激の特性を感覚モダリティとの関連からとらえて数値化する手法で、MD法(モダリティディファレンシャル法)と名づけられ、心理学研究に発表された。
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Research Products
(6 results)