2006 Fiscal Year Annual Research Report
共生細菌Wolbachiaによる宿主操作の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
06J04911
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大手 学 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ボルバキア / キイロショウジョウバエ / サブトラクション / 細胞分裂 / 培養細胞 |
Research Abstract |
宿主ショウジョウバエの細胞分裂に影響を与えるボルバキア遺伝子を同定するため、培養細胞を使ったボルバキア遺伝子のスクリーニング法を開発した。この方法では、まずボルバキアのゲノムライブラリーをショウジョウバエ培養細胞で発現させる。数日後、その細胞からボルバキアゲノムライブラリーを回収する。このライブラリーを、培養細胞に導入する前のものと比較し、培養細胞内での発現前でのみ見られるクローンを同定する。これにより、培養細胞の成長を阻害するボルバキア遺伝子が単離出来る。 これにはサブトラクション法を用いることにした。ただ、今回の実験は通常サブトラクション法が用いられる遺伝子発現プロフィールの比較などとは異なる点がある。つまり、ショウジョウバエ培養細胞で発現させるボルバキア遺伝子が全長でなく、機能を発揮するには不完全な断片としてゲノムライブラリーに含まれている可能性がある。その結果、この全長の遺伝子がもし細胞の成長を阻害したとしても、不完全な断片によりサブトラクションがうまくいかないと考えられる。 そこで、全く新しいサブトラクション法を開発した。これは、まずポルバキアのゲノムライブラリー作製の際に、挿入配列の隣に制限酵素認識部位を入れておく。サブトラクション反応の際に、テスターDNAとドライバーDNAがアニーリングするが、もし、それらのDNAが完全に一致するならば、二本鎖の制限酵素認識部位が形成される。一方、それらDNAが一部でしかアニーリングしない場合は認識部位が形成されない。その結果、制限酵素処理により完全に一致する配列のみが切断される。これにより、例え上記のような全長の遺伝子と不完全な断片を区別することが可能となる。現在、この新しいサブトラクション法を用いて、ボルバキア遺伝子のスクリーニングを行っている。
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