2006 Fiscal Year Annual Research Report
木星放射線帯粒子ダイナミックスの観測及び粒子加速・輸送過程の解明
Project/Area Number |
06J05027
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 詩穂 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 木星放射線帯 / 木星磁気圏 / 惑星電波 |
Research Abstract |
太陽系最大の惑星である木星は、地球に比べて2万倍もの磁気モーメントを持ち、自転周期10時間という高速回転をしている。更に、地球と比較して磁気圏はイオ衛星を起源とする重いプラズマで満たされていることから、地球とは大きく異なる磁気圏を持つ惑星である。磁気圏の中でもきわめて高いエネルギーを持つ粒子が捕捉されている領域を放射線帯と呼ぶが、この放射線帯に関して、地球を含めた磁気圏物理の解明を目的として古くから研究が行われてきた。 木星放射線帯粒子の形成・加速メカニズムに関しては従来準静的な動径拡散過程が提唱されてきた。しかし近年の観測から、準静的な過程では説明できない数日から数週間における短期的な変動や、10年スケールの長期変動が申請者による研究を含め各研究機関の観測で報告されている。この変動は、新たな放射線帯形成メカニズムの存在を示しているが、その物理過程を説明する具体的・定量的なメカニズムは未だに明らかにされておらず、以上の点を明らかにすることを研究の目的とする。 東北大学では木星放射線帯粒子の情報を直接反映する327MHz帯木星シンクロトロン放射電波の観測を1994年から1年のうちに数ヶ月間、日に一度、名古屋大学太陽地球環境研究所(STE研)の327MHz電波望遠鏡を用いて行っている。過去に解析されたデータでは、システム利得決定に重要な受信機の環境温度のデータが不足していたため、電波強度の大きな誤差要因となっていたが、システム全系の全ての環境温度の取得や観測方法の改善を行ったことで、霞波強度導出の精度を高めることに成功し、この結果を学会において発表した。 現在は、木星放射線帯粒子分布モデル及び、磁場モデルを元に、木星シンクロトロン放射強度を計算するコードを欄発中である。開発されたコードと観測結果を元に粒子輸送過程を明らかにし、さらに粒子輸送シミュレーションを用いて、木星放射線帯粒子の形成・加速メカニズムの解明を行っていく予定である。
|
Research Products
(1 results)