2006 Fiscal Year Annual Research Report
岩石の粘弾性遷移挙動の構成則に基づく断層ダイナミクスの推定
Project/Area Number |
06J05028
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川田 祐介 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 粘弾性 / 非平衡熱力学 / ダメージメカニックス / フラクタル / 地震の時間統計則 / ベニオフ歪 / 浸透率 / ラドン |
Research Abstract |
1.非平衡熱力学に基づく岩石の粘弾性構成則とその逆問題の定式化 地殻岩石,特に断層帯の岩石の遷移挙動を記述するための粘弾性構成則を非平衡熱力学・解析力学に基づいて導出し,時間のべき乗則に従う応答関数を持つ応力-歪関係の積分形式で定式化した.また,地表で観測される応力・歪データから地下(断層帯近傍など)のダイナミクスを調べるための逆問題を定式化した.この研究成果の一部は国際誌(Tectonophysics)及び国際会議にて公表した. 2.ダメージを含む岩石の粘弾性構成則と地震の時系列パターン 上で導出された粘弾性構成則を拡張し,内部に脆性過程(クラックなどのダメージ発展)を伴う岩石の力学的挙動を記述する構成則を導出した.さらにこの構成則に基づいて,大地震発生の前後にみられる地震の時系列パターン(地震前兆のべニオフ歪解放や余震数の減衰に関する統計則)を説明した,この研究成果の一部は国際誌(Tectonophysics)及び国際・国内会議にて公表した. 3.岩石の粘弾性構成則と地殻内流体の移流・拡散 岩石の粘弾性挙動は,それに伴う岩石内部の空隙率や空隙の連結度の変化を通じて,地殻内流体の輸送特性に影響を与える.このことを非平衡熱力学に基づいて定式化し,岩石のダメージ発展に伴う拡散や流体体積のフラックスを記述した.さらにこの理論に基づいて,1995年兵庫県南部地震に先行して発生した大気中ラドン濃度の増加は地殻のダメージ発展に起因することを説明した.この研究成果の一部は国際誌(Nonlin.Processes Geophys.)及び国際・国内会議にて公表した.
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