2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト骨芽細胞におけるステロイドホルモンの影響:乳癌ホルモン療法の骨組織への影響
Project/Area Number |
06J05054
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三木 康宏 東北大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 骨芽細胞 / エストロゲン / SERM |
Research Abstract |
骨組織においてはエストロゲンがその発育・維持に深く関与しており、selective estrogen receptor modulator(SERM)であるラロキシフェン(RAL)は、既に本邦においても骨粗雑症治療薬として用いられている。骨形成を担っている骨芽細胞に対するSERMの直接作用には不明な点が多い。本研究では、ヒト骨芽細胞に対するSERMの直接作用について、細胞増殖・周期及びマイクロアレイ解析を行い、エストロゲン(エストラジオール:E2)及びタモキシフェン(TAM)の作用との比較を行った。また、estrogenic compoundsとして知られているジエチルスチルベストロール(DES)、ゲニステイン(GEN)及びビスフェノールA(BPA)の影響も同様に検討した。ヒト骨芽細胞は正常細胞由来株のhFOB(ATCC)を用い、E2、TAM、RAL、DES、GEN及びBPAを添加し、細胞増殖(WST-8)に対する影響を調べた。次にマイクロアレイを用いてそれぞれの化合物を添加したときのhFOBの遺伝子発現解析を行い、階層的クラスター解析にてそれぞれの遺伝子発現プロファイルを比較した。さらに変動を示した遺伝子については、定量的PCRでのバリデーションを行った。E2、TAM及びRALの添加によって、いずれもhFOBの細胞数が増加した。また、BPAによる細胞増殖作用も確認されたが、GENでは変化は無く、DESはアポトーシスを引き起こした。階層的クラスター解析では、E2、TAM及びRAL添加時の全遺伝子での発現プロファイルにはほとんど差が認められなかったが、発現増加遺伝子群ではE2とRAL、発現低下遺伝子群ではE2とTAMの発現プロファイルがそれぞれ類似した。個々の遺伝子についてはRAL添加によって骨芽細胞の増殖に関連する遺伝子が誘導された。骨芽細胞に対し、SERMであるTAM及びRALはいずれも細胞増殖に働くことが示されたが、その作用に関連する遺伝子群には差異があることが考えられた。また、estrogenic compoundsに分類される化合物は、骨芽細胞に対して全く異なる作用を示した。
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