2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロバイオティクスの腸管免疫調節機構の解明と戦略的"アレルギー防御食品"の創製
Project/Area Number |
06J05121
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠野 雅徳 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プロバイオティクス / イムノバイオティクス / アレルギー性疾患 / TLR / NOD / ブタ / 乳酸菌 / 腸管免疫系 |
Research Abstract |
【目的】近年,我が国の深刻なアレルギー罹患者は,人口のおよそ1/3にまで激増し,大きな社会問題になっている.そこで本研究では,免疫応答に重要な役割を果している微生物由来成分認識受容体に着目し,乳酸菌成分の腸管免疫を介するアレルギー発症防御機構を解明することを目的とした. 【結果】新規分子免疫活性評価システムとして,NOD1および2受容体強制発現細胞の構築に成功した.本細胞株は,様々なイムノバイオティクスおよびイムノジェニクスの有する免疫効果を,パターン認識受容体を介する(1)取り込み能,(2)細胞内シグナル伝達分子であるNF-kBの転写活性および(3)サイトカイン誘導能の3ステップでの検証に有効であり,生体の腸管免疫系の免疫活性を反映する優れたツールとなり得ることが明らかになった.本細胞株を用いた解析により,イムノバイオティクスにも含まれる可溶性ペプチドグリカン断片について,NOD1および2の光学異性体によるリガンド特性の観点から明らかにした. 【意義と重要性】これまでの研究で得られた知見は,今後腸管における各種パターン認識受容体を介するシグナル伝達経路について,その認識機構を分子レベルで解明するための糸口となり,自然免疫という基本的な免疫システムがより発展的に解明されるための原動力になると確信する.より有用なイムノバイオティクスやイムノジェニクスを対応する生体内レセプターの関係から同定し,サイトカイン誘導による腸管免疫ネットワークの調節作用として発展的に把握することで,アレルギー,感染症および炎症性疾患予防に寄与する生体防御食品の創製が大いに期待できる.
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