2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J05133
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 亮 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 地域間所得格差 / 集積の経済 / 逆U字仮説 / 移住費用 / 垂直的異質性 / 地域間輸送整 |
Research Abstract |
本年度は昨年に引き続き論文「Economic development and non-monotonic spatial transitions」の修正を行った.本論文は、完全予見の下での家計の人的資本蓄積と地域間移動を分析した、2地域の動学モデルである。既存の動的人口移動モデルでは考慮されていなかった、内生的な人的資本形成をモデルに導入することでモデルの動学的側面を強化し、地域間格差と人口移動を、経済発展と関連付けて分析することを可能とした点である。本論文では地域間における移住費用の水準が、経済発展に伴う人口移動の過程に与える影響に焦点を当てて分析を行った結果、既存研究とは異なった結果が幾つか導出されている。第一に、本研究では移住費の水準が十分に低い場合には、一度過度の人口集中が起こり、その後人口の分散が緩やかに進行するという"逆U字型"の人口移動が得られた。第二に、本研究は家計の人的資本水準を内生化し、それが集積の経済による影響を受けるため、人的資本水準の格差に基づく地域間の経済格差を、モデルの中で内生的に説明することが可能となった。そして実質的な地域間格差の時間的推移を移住費の水準と関連付けて分析した結果、移住費が中間的な水準にある場合に、地域間格差が発展の初期段階で拡大し、その後縮小するという、逆U字型の推移を行うという結果が得られた。本論文は、日本経済学会春季大会、東北大学現代経済学ワークショップ、北米地域学会で報告し、加筆修正した後に、The Japanese Economic Reviewに投稿中である。
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Research Products
(1 results)