2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗真菌活性ポリエーテル化合物ガンビエル酸の全合成と構造活性相関
Project/Area Number |
06J05142
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 一志 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ガンビエル酸 / Gambierdiscus toxicus / 梯子状ポリエーテル化合物 / 抗真菌活性 / BCDEFGHIJ環部 / シガテラ食中毒 |
Research Abstract |
ガンビエル酸類は、熱帯および亜熱帯地域で発生するシガテラ食中毒の原因となる渦鞭毛藻Gambierdiscus toxicusの培養液中から単離、構造決定させた梯子状ポリエーテル化合物であり、これまで4種類の類縁体が確認されている。構造的な特徴として、7/6/6/7/9/6/6/6/6員環からなる巨大な梯子状ポリエーテル構造が中心骨格となり、左右に不斉点を含む複雑な側鎖を有する。また、ガンビエル酸は、Aspergillus nigerに対してアンフォテリシンBの約2000倍という強力な抗真菌活性を有するが、マウス毒性を示さないという、他のポリエーテル化合物には見られない特徴的な生物活性を有する。そこでガンビエル酸の抗真菌活性発現に必要な構造因子を解明するために、ガンビエル酸の収束的な全合成ルートの開発を目的として研究を行い、9環性ポリエーテル骨格BCDEFGHIJ環部の合成を達成した。BCD環フラグメントは、SmI_2による還元的環化反応(B, D環)と6-endo環化反応(C環)を用いて合成した。一方、GHIJ環フラグメントはアセチリド/アルデヒドカップリング、分子内ヘテロマイケル反応による中田らの収束的合成法を改良することで合成した。BCD環フラグメントとGHIJ環フラグメントを山口法によりエステル体として高収率で連結したのち、還元的アセチル化反応によりα-アセトキシアセテートへと導いた。さらに、α-シアノエーテルへと変換後、シアノ基の加水分解とラクトン化を経て、E環をラクトンとして合成した。分離したの還元的アセチル化により得られるアセテートのアリル化反応は、立体選択的に進行し、望むジエンを与えた。最後に第2世代グラブス触媒を用いた閉環メタセシス反応を行ってF環部を構築して、BCDEFGHIJ環部の合成を世界に先駆けて達成した。
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Research Products
(1 results)