2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J05177
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
沓掛 健太朗 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教
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Keywords | 結晶成長 / 太陽電池 / シリコン / 結晶欠陥 / 結晶粒界 |
Research Abstract |
本研究課題2カ年計画のうち、第2年度の平成19年度では、多結晶組織と粒界特性の関係解明を中心に研究を進めた。 まず、これまで電気的特性に関する報告がなかったSi結晶中のΣ5粒界を、種結晶を利用して人工的に形成し、粒界構造の解析と電気的特性評価を行った。その結果、Σ5粒界は、Σ3粒界やΣ9粒界などと同様に、電気的に不活性な粒界であることを明らかにした。さらに、粒界構造を表すパラメータの中で、対応方位(低Σ)関係からの角度ずれに着目し、Σ5粒界の電気的活性度がずれ角が大きくなるほど増加することを示し、さらに粒界転位の電気的活性度は結晶転位に比較して小さいことを示した。以上のことは、対応粒界の電気的特性の支配因子が粒界転位であり、太陽電池の高効率化の観点からは、粒界転位を減らすことが重要であることを示唆している。 また近年、バルク多結晶Si太陽電池の特性を低下させる欠陥として、亜粒界(小角粒界)が問題視されるようになってきた。そこで結晶中の亜粒界分布を定量的に測定する方法として、X線回折を用いる方法を提案し、その活用を図った。X線回折を用いる方法は、従来のSEM-EBSP法では検出できないような微小方位差の亜粒界も検出できる利点を有する。結晶中の亜粒界分布を解析した結果、亜粒界は結晶中に均一に分布するのではなく、結晶の成長方向に伸びる領域に局所的に分布することがわかった。また、亜粒界密度が高い領域で少数キャリア拡散長の低下が観察された。さらに両者の依存関係から、亜粒界の電気的活性度を見積もった結果、亜粒界は活性なランダム粒界と同程度の電気的活性度を有することがわかった。結晶中の亜粒界密度を考慮すると、このことは、亜粒界は太陽電池特性を低下させる重要な因子となることを示している。
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Research Products
(5 results)