2006 Fiscal Year Annual Research Report
Bサイトスピネル硫化物における強磁場下量子振動測定によるフェルミ面研究
Project/Area Number |
06J05179
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡田 宏成 東北大学, 金属材料研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | スピネル化合物 / dHvA振動 / フェルミ面 / 電荷密度波 / 単結晶 |
Research Abstract |
Bサイトスピネル硫化物のフェルミ面を実験的に明らかにすることを目的として、本年度はCuTi_2S_4及びCuV_2S_4に着目し、純良単結晶育成、ドハースファンアルフェン(dHvA)振動測定を行った。純良単結晶を育成するため、専用の電気炉を新設し、様々の条件で単結晶を育成した結果、CuTi_2S_4においては、単結晶育成に用いる輸送剤の量を限界まで少なくすることが純良単結晶の育成には重要であることがわかった。現在までのところ、残留抵抗率7μΩcmの単結晶を育成することに成功している。この値は、これまでに報告されている値の約1/17と非常に小さな値である。また、dHvA振動を測定するための最低条件である残留抵抗率(数μΩcm)と同程度であり、dHvA振動測定に耐え得る品質の単結晶であるがわかった。CuV_2S_4についても同様に純良単結晶を育成することに成功している。CuV_2S_4においては、輸送剤の量は石英管内体積に対して3〜5mg/cm^3と非常に狭い範囲でのみ単結晶育成が可能であり、また育成した単結晶を適切な温度で熱処理する必要があることがわかった。単結晶育成後の熱処理によって、2段階の電荷密度波転移は、明瞭な跳びとして電気抵抗率や磁化率に現れることがわかった。 量子振動測定装置として、内径2mmのピックアップコイルを有するdHvA振動装置を作製し、SdH振動測定できるように現状の電気抵抗率測定装置の分解能を向上させる改良を行った。育成した単結晶を用いたdHvA振動測定を行った結果、現在のピックアップコイルの内径(2mm)では十分な検出感度が得られないことがわかった。これは、単結晶の品質向上に伴ってその大きさが著しく減少するためであり、残留抵抗率7μΩcmの単結晶では1mm角程度の大きさであるために、ピックアップコイル内に大きな空間ができてしまい、検出感度が低下していることがわかった。そのため、内径の小さなピックアップコイルを作製すれば、dHvA振動を測定することができると考えている。
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