2006 Fiscal Year Annual Research Report
リアノジン全合成とカルシウム放出チャネルの機能研究
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06J05232
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
萩原 幸司 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リアノジン / C_2 対称 / Diels-Alder反応 / 脱炭酸反応 / ニ方向同時環拡大反応 / 渡環ピナコール反応 / 渡環アルドール反応 |
Research Abstract |
リアノジン・コア骨格の短段階合成法を確立した。リアノジン・コア部は置換基の立体を含めてC_2対称性を有しているため、C_2対称化合物を原料に用いることで、二方向同時反応を利用した短段階コア骨格構築法の開発に成功した。 C_2対称化合物である2,5-ジメチルハイドロキノンと無水マレイン酸の脱芳香環化型Diels-Alder反応により、四級炭素を有するビシクロ[2.2.2]-オクタン骨格を構築した。無水カルボン酸部への加水分解反応、四酢酸鉛を用いた脱炭酸反応によりオレフィン部を導入した後、ジケトン部への二方向同時環拡大反応(Tiffeneau-Demjanov転位反応)により、ビシクロ[3.3.2]-デカン骨格(1)を合成した。さらに、ジケトン部を渡環ピナコール反応により連結し、コア骨格を構築した。 続いて、リアノジン・コア部の構築へ向けて、1への官能基導入を試みた。1のケトンをエノンへと変換し、チオールの1,4-付加反応により、ケトンのβ位へ立体選択的にスルフィドを導入した。得られたジスルフィドの渡環ピナコール反応では、スルフィドが脱離することなく、官能基化されたコア骨格の構築に成功した。さらに、数工程を経てジビニルスルフィドを合成した。 また、Davis試薬により、1のケトンのα位へアルコールを導入した化合物2を得た。2の渡環ピナコール反応では、アルコールが脱離するのみであった。興味深いことに、2を酸で処理したところ、渡環アルドール反応が起こり、コア骨格が構築できた。以上のように、現在までに渡環ピナコール反応、渡環アルドール反応を鍵とした二種類のコア骨格構築法の開発に成功している。
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