2008 Fiscal Year Annual Research Report
電子の量子振動現象を用いた超伝導状態と異常電子状態に関する研究
Project/Area Number |
06J05242
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
一色 俊之 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 強相関電子系 / f電子化合物 / 重い電子系 / 量子臨界点 / 四極子秩序 / dHvA効果測定 / フェルミ面 |
Research Abstract |
本年度は電気四極子の秩序やその揺らぎによる異常な電子状態の解明という目的で研究を進め、以下のような研究成果をあげることができた。 1)Pr_xLa_<1-x>Pb_3における四極子秩序とdHvA効果測定 今年度は主にPr_xLa_<1-x>Pb_3(x=0,0.03,0.97)におけるdHvA効果測定を行った。過去の比熱や電気抵抗などの測定により、これらの系では伝導電子と局在f電子との混成による特異な電子状態が実現しているとされていた。しかし、本研究の結果により、それらの混成は小さく特異な電子状態は伝導電子系に起因するものではないことを示すことができたと考えている。一方、混成は小さいものの、四極子秩序の相境界近傍での伝導電子状態の微小な変化を捉えることにも成功しており、伝導電子と四極子秩序との関連性に関する知見を今後議論できるものと考える。 2)U_xTh_<1-x>Pd_3における四極子秩序とdHvA効果測定 U_xTh_<1-x>Pd_3(0≦x≦1)における磁化測定及びdHvA効果測定を行うことにより、x=0.15近傍で四極子秩序が消失し、その付近で電子の有効質量がわずかに増大しているという結果を得ることに成功した。これは四極子秩序の量子臨界点近傍で伝導電子系に何らかの影響が生じていることを示唆するものであり、量子臨界点近傍における異常電子状態実現の痕跡を捕らえたものと考えられる。今後は他の測定手段を用いて別の側面から異常な電子状態についての調査を行い比較を行うことでより詳細な知見を得ることができると考えている。
|
Research Products
(10 results)