2006 Fiscal Year Annual Research Report
磁気嵐に伴う赤道域内部磁気圏の電磁場,高エネルギー粒子分布関数の変動
Project/Area Number |
06J05248
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 幸敏 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 磁気嵐 / 電場 / 環電流 / 放射線帯 / プラズマ圏 / あけぼの衛星 |
Research Abstract |
磁気嵐時に内部磁気圏に発生する強いDC電場の分布を調べるため,内部磁気圏を高い時間分解能でくまなく探査しているAkebono衛星搭載の電場データを解析した。その結果,朝側,夕方側では静止軌道以内で5mV/m以上の電場強度増大が見られた。一方,静止軌道以遠では電場強度は1mV/m以下であった。また真夜中では最大電場強度は15mV/mにも達したが,変動成分が大きく1軌道あたりの平均強度は1mV/m以下であった。 以上の結果は,磁気嵐時の磁気圏対流は磁気圏全体で発達するというよりは,内部磁気圏の夕方側(朝側)という限られた領域で発達することを意味している。この結果から,磁気嵐は磁気圏尾部の対流電場の増大によりプラズマシート起源の高エネルギー粒子が内部磁気圏に注入されることによって発生するという従来の考え方と異なり,内部磁気圏でのプラズマ加速,輸送が重要であることを指摘した。この結果はNishimura et al.[2006]としてGeophysical Research Letters誌に掲載されている。 この電場が高エネルギー粒子の運動に与える影響を定量的に評価するため,相対論的効果を考慮した案内中心方程式を解くことにより,環電流粒子と放射線帯粒子の軌道計算を行った。この手法は従来から採用されているものではあるが,背景揚の量として観測から得られた電場を用いた点が特徴である。この結果,プラズマシート粒子は断熱効果のみで70keV以上加速されて環電流粒子の中心を担うエネルギーに達し,内部磁気圏でのDC電場が磁気嵐の発達に重要な役割を果たすことを示した。また放射線帯粒子は磁気嵐回復相において3時間で100keV加熱され,放射線帯の形成にも寄与する可能性があることが示された。この結果はNishimura et al.[2007]としてJournal of Geophysical Research誌に掲載されている。
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Research Products
(3 results)