2006 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴルの白亜紀陸成層層序の統合と堆積学的・地球化学的手法を用いた古環境復元
Project/Area Number |
06J05250
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 精 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 白亜紀 / 古環境 / モンゴル / 堆積相解析 / アジア内陸 / 砂漠 / 古気候 / 大気循環 |
Research Abstract |
本研究の目的達成のために,モンゴル南部ゴビ盆地に露出する白亜系陸成層の広域的な地質調査を展開し,各地域の岩相層序対比と堆積相解析による古環境復元を行った.この結果から,下記のような同地域の時空的な古環境及び古気候の変遷が明らかになった.また同地域から多量の地球化学的及び古地磁気学的試料を採取し,詳細な年代を決定する古地磁気層序確立の為に既に分析を進めている.このほか,アジア他地域の古環境・古気候情報を得る為に,中国・タイの陸成白亜系の情報収集と,次年度の為の調査準備を行った. ベリアシアン期〜バレミアン期にモンゴル地域は扇状地及び氾濫源の環境であり,氾濫源堆積物中に見られるカルクリートと呼ばれる土壌性炭酸塩の存在から,半乾燥気候かであったことが示唆される.アプチアン期〜アルビアン期には,湖成および石炭を形成するような湿地帯の環境であり,湿潤気候下であった.セノマニアン期〜サントニアン期には,蛇行河川及び氾濫源の卓越する環境から網状河川及びカルクリートの形成が見られる氾濫源の環境へと漸移しており,湿潤気候から次第に乾燥化した.カンパニアン期には,広域的に砂漠環境が広がり,乾燥気候下であった.マストリヒト期には,再び蛇行河川と氾濫源の卓越する環境へと推移し,気候の湿潤度が増加した. 以上の結果からモンゴル地域は,前期及び後期白亜紀には乾燥気候下に属し,中期白亜紀には湿潤気候下に属していたことが明らかになった.更にアジアの他地域の古環境情報を文献調査により比較検討することで,本研究で明らかになったような前期・中期・後期白亜紀を通した急激な古気候の変動は,中国のオルドス盆地・四川盆地やタイのコラート盆地にも記録されていることが明らかになり,総合的に解釈することで白亜紀を通して陸域の気候帯及び大気循環系が極側・赤道側に急激にシフトしていた可能性が明らかになった.
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