2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属触媒および有機触媒を用いた複素環化合物の新規合成法の開発
Project/Area Number |
06J05256
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金澤 親志 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機触媒 / ホスファゼン塩基 / 分子内環化反応 / ベンゾフラン / ベンゾチオフェン / インドール / 有機塩基触媒 |
Research Abstract |
複素環化合物は様々な生理活性物質や機能性材料の基本骨格として見受けられることの多い化合物郡であるが、近年は副生成物の発生を抑えて高い原子収率で進行する触媒反応の開発が盛んに行われている。その中でも分子内環化反応は簡便かつ効率的に複素環化合物を合成できる手法の一つである。本年度の研究において申請者は、オルトアルキニルフェニルエーテル誘導体に対して、非常に強い塩基性を示す有機化合物として知られているホスファゼン塩基を触媒として用いると、効率的にベンゾフラン骨格が構築されることを見出した。ベンゾフラン環の構築方法としては、オルトアルキニルフェノールおよびオルトアルキニルフェニルエーテル誘導体の分子内環化反応が一般的に知られている。しかしながらこれらの反応はいずれも炭素-酸素結合の形成を伴いながら進行するものであり、炭素-炭素結合の形成を伴いながら進行する反応は未だに報告例が無い。ベンゾフラン合成の選択の幅を広げるためにも、異なる反応経路を経由する新規な反応の開発が求められていた。 本年度の研究において申請者は、オルトアルキニルフェニルエーテル誘導体に対して、ホスファゼン塩基P4-tBuを触媒として用いると、炭素-炭素結合の形成を伴いながら高い収率でベンゾフラン骨格が構築されることを見出した。また本反応は多くの場合において温和な反応温度、短い反応時間で進行することも注目される。また同様にしてオルトアルキニルフェニルスルフィドおよびオルトアルキニルアニリンを反応基質として用いると、対応するベンゾチオフェンおよびインドールがそれぞれ高い収率で得られることも併せて見出した。これらの反応は、2,3-二置換複素芳香環化合物を合成する新規な反応として今後の発展が期待される。
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Research Products
(5 results)