2006 Fiscal Year Annual Research Report
基質認識型ブレンステッド酸触媒による環境調和型有機変換反応の開発
Project/Area Number |
06J05257
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
反町 啓一 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 基質認識型 / ブレンステッド酸触媒 / リン酸 / 不斉触媒反応 / Friedel-Crafts(F-C)反応 / 電子豊富多重結合の活性化 / エンカルバマード / インドール |
Research Abstract |
基質認識型ブレンステッド酸触媒の開発研究の一環として適度な酸性度を有し、かつ他の有機酸には見られない特徴的な構造を有するリン酸に着目し、それを用いた不斉触媒反応の開発を行ってきた。今年度は年次計画に基づき、不斉触媒反応の適用範囲の拡大を目指し、さらなる親電子剤の探索を行った。すなわち、不斉リン酸を用いた電子豊富な二重結合の活性化を利用した不斉触媒反応の開発に成功した。 探索を行う上で、Friedel-Crafts(F-C)反応に着目した。F-C反応は芳香族化合物への求電子置換反応であり、原子効率の高い炭素骨格構築法の一つとして工業的にも多用されている。 これまで申請者は、イミンの活性化を利用したF-C反応への展開を行ない、キラルリン酸触媒がイミンの活性化を利用したフランとのaza-F-C反応において優れた不斉触媒となることを明らかにしている。 従来の不斉触媒的F-C反応はこのような(イミン、アルデヒド等)"電子不足多重結合の活性化"を基点として研究が展開されてきた。これに対し、"電子豊富多重結合の活性化"を経由するF-C反応の不斉触媒化にも本触媒が有効であることを見出した。すなわち、電子豊富な二重結合を有するエンカルバマートをキラルリン酸触媒により活性化することで、インドール誘導体とのF-C反応が高エナンチオ選択的に進行した。電子豊富二重結合のプロトネーションを利用した本反応は、ブレンステッド酸触媒の特徴を最大限に活かした反応であり、電子豊富な二重結合の活性化によるF-C反応の不斉触媒化の初めての例である。
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Research Products
(3 results)