2006 Fiscal Year Annual Research Report
方解石成長ステップでのD-,L-アミノ酸の選択吸着メカニズムの解明
Project/Area Number |
06J05263
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸山 美帆子 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 方解石 / 光学異性体 / 位相シフト干渉計 / 1分子挙動観察 / 蛍光ラベル |
Research Abstract |
(1)アスパラギン酸添加によるステップ移動速度変化の測定の測定 位相シフト干渉計とその場観察セルを用いて、アスパラギン酸を添加した系における方解石ステップ移動速度の絶対速度の測定を行った。その結果、方解石の低過飽和領域において、アスパラギン酸は方解石の成長速度を促進し、高過飽和領域においては方解石の成長を抑制する事が明らかになった。また、二つの方向で促進量には異方性がある事が確認された。 (2)アスパラギン酸添加条件における方解石界面張力の測定 航空機を用いた微小重力実験により、pureな条件とアスパラギン酸添加条件における方解石の核形成待ち時間の過飽和度依存性を測定し、そこから方解石の界面張力を求めた。界面張力は、結晶の成長速度に直接関係する重要なパラメータの一つである。その結果、pureな系では界面張力γ=162mJ/m^2であるのに対し、アスパラギン酸添加条件では界面張力γ=126mJ/m^2となり、アスパラギン酸が方解石の界面張力を低下させること分かった。これは、位相シフト干渉計によって明らかになった、アスパラギン酸が方解石の成長速度を促進させるという結果と整合的である。 (3)蛍光ラベル化アミノ酸の合成と、蛍光ラベル化アミノ酸が方解石に及ぼす影響 蛍光ラベル化アミノ酸を用いた1分子挙動観察に向け、蛍光ラベル化アスパラギン酸を合成した。これまで行われてきたタンパク質の蛍光ラベル化とは異なり、アスパラギン酸の場合には、目的の蛍光ラベル化アスパラギン酸(TRTC-Asp)と、目的物ではない加水分解物(TRITC hydrolysate)力弐ほぼ同量得られてしまう。そこで、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いて目的物の分取条件を調べて分取を試み、成功した。現在、この蛍光ラベル化アスパラギン酸を実際に用いた1分子挙動観察が進行中である。
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