2007 Fiscal Year Annual Research Report
ラセンピッチを段階的に変化させたヘリセンの合成と機能
Project/Area Number |
06J05271
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高平 祐介 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘリセン / ナフタレン / アダマンチル基 / ラセン不斉 / ラセミ化 / 光学活性 / 誘導体化 / キラルHPLC |
Research Abstract |
ねじれた多環芳香族分子であるヘリセンに関する本研究課題の一環として,二環性の1,8-ジ-tert-ブチルナフタレン誘導体に着目した.昨年度までにベンザインと2-(1-アダマンチル)フランとDiels-Alder反応を鍵反応として,レゾルシノールから7工程で1,8-ジ(1-アダマンチル)-5-メトキシナフタレン-4-オールを収率よく合成することに成功した.(S)-ケトピン酸エステルにすることで,60℃以下ではラセミ化を起こさずにシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって両光学異性体を分離することができた.本年度は得られた光学活性体の誘導体化を検討した.光学活性(P)-1,8-ジ(1-アダマンチル)-4,5-ジメトキシナフタレンに小過剰量のシクロヘキセンオキシド共存下,ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミドを40℃で作用させると3,6-二臭素化物を収率73%で与えた.反応進行に伴い発生する臭化水素を捕捉し,酸による基質の分解反応を抑制することが収率向上に重要であった.臭素-リチウム交換反応によって得た3,6-ジリチオ体にN,N-ジメチルホルムアミドを作用させ,3,6-ジホルミル体に導いた.亜塩素酸酸化を行い,光学活性(P)-1,8-ジ(1-アダマンチル)-4,5-ジメトキシナフタレン-3,6-ジカルボン酸を得た.いずれの過程においても比旋光度測定およびキラルHPLC分析を行い,ラセミ化していないことを確認した.
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Research Products
(1 results)