2006 Fiscal Year Annual Research Report
半導体の結晶特性と非線形光学効果による遠赤外光発生機構
Project/Area Number |
06J05304
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊藤 恭介 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遠赤外光 / 非線形光学 / フォノン / GaP / 光導波路 |
Research Abstract |
これまで半導体GaP結晶を用いて光-フォノン相互作用に基づく遠赤外光発生の研究を行い、結晶性および結晶サイズが発生機構に影響を及ぼすことを確認している。本研究では、結晶性・非線形光学効果・導波路構造の観点に基づきフォノンの挙動を理解し、半導体結晶特性と非線形光学効果による遠赤外光発生機構の解明を目的としている。 今年度はまず、不純物添加特性が異なるGaP結晶における遠赤外光反射スペクトル測定を行い、不純物の存在がこの領域の光物性に及ぼす影響について検討した。半絶縁性GaP結晶(キャリア濃度,1×10^<12>cm^<-3>以下)における反射スペクトルではTOフォノンによる寄与を、ドナー不純物であるSをドープしたGaP結晶(キャリア濃度,5×10^<17>cm^<-3>)ではTOフォノンに加えて自由電子による寄与を確認した。それらの結果はDrude-lorentzモデルによる計算結果とほぼ対応している。不純物添加によって生じる自由キャリアの存在が遠赤外光領域におけるフォノンの分散関係に影響を与えるという知見を得た。 さらに、導波路構造がフォノンの分散関係に及ぼす効果について検討した。GaP結晶に対して遠赤外光波長と同程度のサイズを有する導波路構造(数100μm程度)を作製した。断面形状としては、厚さ方向に対して遠赤外光を閉じ込めるスラブ型構造と厚さおよび幅方向に閉じ込める矩形構造を作製した。各種導波路結晶における遠赤外光発生を行いバルク結晶とは異なるコリニア位相整合による発生機構を確認した。これは導波路中のフォノンの分散関係がバルク結晶とは異なることを意味しており、これは導波路分散を考慮したフォノン分散曲線から説明できる。さらに矩形導波路構造では遠赤外光の発生効率がバルク結晶の値を1桁上回る結果を得た。これは遠赤外光の2次元方向閉じ込めによる光-フォノン相互作用の増強効果を示していると考えられる。
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Research Products
(2 results)