2007 Fiscal Year Annual Research Report
イオンチャネルに拮抗作用するポリエーテル分子の全合成と活性構造の解明
Project/Area Number |
06J05327
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海老根 真琴 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DCI)
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Keywords | 海産ポリエーテル / ブレベナール / 全合成 / 鈴木-宮浦カップリング / 収束的合成 / 機能解析 |
Research Abstract |
昨年度に全合成と構造改訂を行った海産ポリエーテル化合物ブレベナールについて、今年度は量的供給を可能とする、より効率的な合成経路の開拓をおこなった。量的供給の実現・合成の簡便化は我々の目指す分子レベルでの生命機能解析研究に必須である。 前回の合成では、ブレベナールの5環(ABCDE環)性ポリエーテル骨格をAB+DE→AB-DE→ABCDEというように合成していた。すなわち、AB環エノールホスフェート(1,4-ブタンジオール23段階)とDE環エキソオレフィン(2-デオキシ-D-リボースから35段階)をそれぞれ直線的に合成して両者を鈴木-宮浦カップリングで連結し、B環上の水酸基を立体選択的に導入したのち最後にC環を構築して側鎖導入前の化合物を得ていた(カップリングから15段階、総工程数73、最長直線工程数50)。しかしこの方法ではDE環合成およびカップリング以降の段階数が多く、また数十グラム規模での実験には適さない煩雑な工程があり、改良の余地があった。そこで今年度は、AB環をさらに2つのフラグメントに分割してより収束的に合成する経路(A+B→AB+DE→AB-DE→ABCDE)を考案した。また、B環上の水酸基はあらかじめAB環フラグメントに導入しておくことでカップリング以降の段階数を減らすことを狙った。その結果、AB環の合成とAB環・DE環の連結という2回の鈴木-宮浦反応により収束的合成を達成し、フラグメントの連結以降の段階数をおよそ半分の8段階まで削減することができた。D環、E環はどちらもエーテル環の中では立体選択的な合成が困難とされる7員環であるが、それぞれ1,6-ジオールの酸化によるラクトン環構築と、中田らにより開発されたヨウ化サマリウムを用いた還元的環化反応により、いずれも立体選択的かつ高収率、良好な操作性をもって合成することが可能となった。総工程数59、最長直線工程数は32であった。この結果はアメリカ化学会誌Organic Lettersに投稿し受理された。
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Research Products
(6 results)