2006 Fiscal Year Annual Research Report
峡部オーガナイザーFgf8による小脳誘導メカニズムの解明
Project/Area Number |
06J05334
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 英斉 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 小脳分化 / Fgf8 / Ras / ERK経路 / Pea3サブファミリー / DN-Pea3 |
Research Abstract |
小脳分化は、峡部オーガナイザー分子Fgf8の強いシグナルによってRas/Erk経路が活性化されることによって引き起こされる。Erkの下流で小脳形成に働く遺伝子を探ろうと思い、Erkによって活性化されると報告されているEtsファミリーのPea3、Ermの発現を調べたところ、峡部を中心とした勾配を形成して発現していた。Fgf8を強制発現し、Pea3、Ermの発現変化を確認した。すると、Pea3、Ermの発現が誘導された。また、ドミナントネガティブフォームのRasを強制発現したところ、Pea3、Ermの発現が抑制された。これらの結果から、Pea3、ErmはFgf/Ras/Erkシグナルを介して誘導されていることを確認した。 Pea3のDNA結合領域のみを強制発現すると、Pea3サブファミリーに対してドミナントネガティブ(DN-Pea3)として働く。DN-Pea3を作成し、強制発現したところ、中脳マーカーであるOtx2が後脳に異所的に誘導され、後脳マーカーであるGbx2、Fgf8が抑制された。 さらに、Pea3の全長を単離し、強制発現すると、Otx2が中脳で抑制され、Gbx2、Fgr8が中脳で異所的に誘導された。このことから、Pea3は後脳の領域形成に重要な役割を果たしていると考えられる。 また、Pea3強制発現後14日目に形態的な変化を調べたとろ、中脳視蓋の肥大が確認された。さらに、切片を作成したところ、Pea3が導入されたと考えられる領域で中脳の層構造の乱れ、軟膜側の表層に小脳の外顆粒層と考えられる細胞群が観察された。また、Pea3のリン酸化を促進するために、Fgf8aとPea3との共導入を行った。すると、本来視蓋が分化する中脳領域では視蓋の構造がなくなり、中脳の後端部に小脳様の構造を観察することが出来た。現在、この構造が小脳であるかどうか組織学的に検討中である。
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